玄蕎麦(げんそば・玄そば)
そばの種が蒔かれてから、収穫されたままの実を玄蕎麦と呼びます。そばの種は玄蕎麦そのものになります(玄蕎麦を蒔いて玄蕎麦を収穫する)。収獲された玄蕎麦は、実が黒い皮に包まれており、黒い殻をそば殻(そばがら)と呼びます。そば殻は主に枕の原料に使用され、そば殻枕と呼ばれ昔から親しまれております。
丸ヌキ(ぬき実・ヌキ実・抜き身・剥き実・そばの実)
玄蕎麦の外側の黒い皮の部分(そば殻)を取り除いた実をぬき実と呼びます。写真は常陸秋そばのぬき実になります。
玄蕎麦(殻が付いたままの物)の殻を取ると丸ヌキになります。殻は主に枕の原料に使用されます。
そばの構造
丸ヌキにした物を製粉すると、中心部分にある胚芽の部分が固いため、そこを軸に縦に割ったような形で製粉されていきます。その際に周りにある柔らかい胚乳部分が砕けて粉になります。粉には一番粉・二番粉・三番粉といった呼び方があります。
一番粉・二番粉・三番粉
砕けた白い粉がでんぷん質主体で一番粉になります。一番粉の中でも特に白くきめ細かい物を篩にかけて取った物が更科粉になります。
一番粉(胚乳)の残りや胚芽部分に多少含まれるたんぱく質を挽いたものが二番粉になります。
緑色をした甘皮(種皮)部分を大部分占める物が三番粉になります。
一番粉
白く、甘みがあり、つるつるとした食感が特徴です。
二番粉
青緑で、甘みがあり、そばの皮の味が強いのが特徴です。
三番粉
黒く、苦っぽく、ざらざらした食感が特徴です。
一番粉・二番粉・三番粉の由来
製粉がロール挽きで始めるようになった頃に、ヌキ実を一台のロール機にてバケット輸送方式と呼ばれる製法で製粉しておりました。
バケット輸送方式は、一台のロールで一回ロールに通し、篩いにかけたものをまた同じロールに通し、篩にかけるというやり方でした。
今現在は何台ものロール機を使い風で粉を運ぶニューマ輸送方式が取られております。
一・二・三番粉というのは、昔のバケット輸送方式の名残で、一台のロールで挽いた時に篩いにかけて一番目に出てきた粉が、白いそば粉ができ、なおかつ一番目に出来ることから、白いそば=一番粉=更科(さらしな)粉系というように呼ばれるようになりました。
打粉・花粉・とも粉とは?(呼び名が何種類かあります)
打粉は製麺する際に、麺同士がくっつかないように麺の周りに振る粉のことです。打粉はそば粉から作られております。打粉は、そばの実の中心の部分の胚芽や胚芽の周りの部分(サラシと同じ部分)から出来ており、少ない量しか取れない為価格が高めになります。打粉をうどん用打粉などでも代用できますが、そば湯をお客様にご提供する場合は、そばから出来ている打粉を使用しないと美味しいそば湯ができません。
*花粉?
弊社の打粉は、粗い打粉・細かい打粉の二種類あります。使い側の好みによって、分けて使われています。
とも粉は、打粉が出来る以前にそばの麺同士が、くっつかないように使われてきたそば粉のことです。打粉が開発される前は、麺にしたそば粉を打粉代わりに使用していました。麺にしたそば粉を打粉代わりに使用していましたが、甘皮(2番粉)の部分が多少なりとも入っているそば粉を打粉代わりに使用すると、麺の周りに打粉代わりに使用しているそば粉が多くついてしまいます。その為、現在ではとも粉の使用されているところは、あまりされていません。そば釜もそば湯もすぐに濁ってしまうという欠点もあります。
細かい打粉
粗い打粉
挽きぐるみ粉・全粒粉とは?(呼び名が何種類かあります)
挽きぐるみという粉は、玄蕎麦、ぬき実を丸ごと余すところ無く、挽いた粉になります。玄蕎麦の挽きぐるみは、玄蕎麦のまま挽きます。
ぬき実の挽きぐるみは、玄蕎麦から周りの殻(ソバガラ)の部分を取り除いた物を挽きます。玄蕎麦の挽きぐるみは、挽くのに非常に難しい粉になります。
石臼挽きの場合、石臼から出てくる殻(ソバガラ)の部分が挽くのに邪魔になりますし、玄蕎麦の殻は固い為に、石臼の目立ての減りが早い為に、ぬき実で挽く挽きぐるみよりも、扱いも手入れも非常に大変です。
用途・目的・想像の粉などで変わりますが、コーヒーなどのように、粗挽き、低速挽きなどの挽き方で挽きぐるみと言えども、何種類もの粉が出来ます。
ロール挽きの場合は、各箇所で挽かれた粉を最終的に全部混ぜ合わせると、ロールの挽きぐるみといえますが、一般的に挽きぐるみ(全粒粉)は石臼挽きになります。また、ロール挽きでは玄蕎麦の挽きぐるみはいい物が出来にくいと思われます。玄蕎麦をロール挽きすると、玄蕎麦の殻(ソバガラ)の部分が邪魔になり、最後まで綺麗に挽く事ができない為です。
石臼挽きぐるみ
手のひらで握ると綺麗に
ダンゴ状になりやすいです。
ロール挽きぐるみ
手のひらで握ると石臼の粉よりは
ダンゴ状になりにくいです。